家賃値上げは拒否できる!実際に断って住み続けた体験談と断り方

家賃値上げは拒否できる|弁護士に相談して住み続けた体験談 暮らし・ライフスタイル

ある日突然、ポストに「家賃を値上げします」「退去してください」なんて通知が届いたら、どうしますか?

「そういうものなのかな…」と、言われるがままにサインしてしまう人、実はすごく多いんです。

でも、ちょっと待ってください。

一方的な退去要求も、家賃の値上げも、拒否できます。

これは私の想像や願望ではなく、実際に私が両方とも拒否して、「そのまま住み続けていいですよ」という結果になった実話です。

この記事では、私のアパートに届いた2通の通知から始まった一連の出来事と、弁護士さんに教えてもらった「借りる側(借主)の権利」について、できるだけ分かりやすくお話しします。

とくに、新社会人の方や、これから新生活を始める方に読んでほしい内容です。知っているか知らないかだけで、結果が大きく変わります。この知識は、あなたを守る防具にも、交渉の武器にもなりますよ。

※この記事は私個人の体験と、弁護士への相談・公的な情報をもとに書いていますが、法律の専門家による記事ではありません。個別のケースについては、必ず専門家(自治体の無料法律相談や弁護士)に確認してくださいね。


結論:一方的な退去も、家賃の値上げも「拒否できる」

最初に結論からいきます。

賃貸に住んでいる人(借主)は、法律でかなり強く守られています。具体的には「借地借家法(しゃくちしゃっかほう)」という法律です。

  • 大家さん都合の退去要求 → 「正当事由」という相当しっかりした理由がない限り、認められません(借地借家法28条)
  • 家賃の値上げ → 大家さんが一方的に決めることはできず、あくまで借主との「合意」が必要です(借地借家法32条)

つまり、どちらも「お願いされている」だけの状態であって、あなたが「はい」と言わない限り、勝手には進まないんです。

「えっ、でも通知が来たら従わないといけないんじゃ…?」

私も最初はそう思っていました。ここからは、実際に私の身に起きたことをお話しします。


【体験談】私のアパートに届いた2通の通知

当時、私はとあるアパートに住んでいました。家賃はかなり安めの物件です。

ある日、ポストに1通の通知が入っていました。

1通目:「オーナーと管理会社が変わりました」

この時点では「ふーん、そうなんだ」くらいでした。よくある話ですからね。

ところが、しばらくして2通目が届きます。

2通目:「このアパートを施設として運用するので、退去してほしい」

……きました。いわゆる立ち退き要求です。

ここで私が「ん?」と引っかかったのが、この通知、退去の期日も、立ち退き料についても、一切書かれていなかったんです。

「いつまでに出てください」もなければ、「引っ越し費用はこちらで負担します」もない。ただ「退去してほしい」とだけ。

これ、偶然じゃないんですよね。あえて書いていないんです。

向こうとしては、できるだけお金をかけずに、穏便に、こちらから「自主的に」引っ越してもらうのが一番おいしい展開。だから具体的な条件は出さずに、こちらの出方をうかがっている。つまり、駆け引きが始まっていたわけです。

私はこの時点で「あ、これは素人が直接やり取りしたら負けるやつだ」と思い、正直めんどくさかったのもあって(笑)、弁護士さんに相談することにしました。


退去通告が来たとき、絶対にやってはいけないこと

弁護士さんに相談して、まず教わったのがこれです。めちゃくちゃ重要なので、先にお伝えします。

「いつまでに引っ越せばいいですか?」と聞いて、退去日だけを決めて承諾してしまうと、立ち退き料が出なくなります。

どういうことかというと、退去日だけを承諾するのは、相手から見れば「自主的に引っ越すことに同意してくれた」のと同じなんです。そうなると、立ち退き料を支払う理由がなくなってしまう。

本来、大家さん都合の立ち退きでは、立ち退き料(引っ越し費用や迷惑料にあたるお金)が支払われるのが一般的です。

ただし、立ち退き料には法律で決まった基準がありません。「引っ越し費用+家賃の数ヶ月分」あたりが目安として語られることが多いですが、実際は物件の条件や大家さん側の事情によって大きく変わります。

つまり、本来なら受け取れるはずのお金があるということ。それなのに、「いつまでに出ればいいですか?」のひと言で、そのお金がゼロになる可能性があるんです。

繰り返しますが、相手は安く穏便に済ませたい。だから、あの手この手で「自主的なお引っ越し」を促してきます。通知に期日や費用が書かれていなかったのも、そういうことです。

退去要求が来ても、すぐに「分かりました」と言わない。これだけは覚えておいてください。


弁護士に依頼した内容と、その結果

弁護士さんが間に入って相手側に確認したところ、ようやく具体的な条件が出てきました。

「退去費用は20万円。退去時期は実質1ヶ月以内で」

……正直、かなり厳しい内容です。引っ越し先を探して、契約して、荷造りして——1ヶ月でやれと言われても現実的じゃありませんよね。

そこで私が弁護士さんにお願いしたのが、この2つでした。

  1. 立ち退き料を20万円から42万円に引き上げること
  2. 退去期限を8ヶ月後まで延ばすこと(当初の話では実質1ヶ月で出ていく流れだったので)

で、結果がどうなったかというと——

「そのまま住み続けていい」ことになりました。

……ちょっと意外な結末ですよね(笑)。順を追って説明します。

交渉の結果、相手側は「立ち退き料は家賃の5ヶ月分まで。それ以上は出せない。その条件がダメなら、そのまま住んでもらって構わない」という回答でした。

私の物件は家賃がかなり安かったので、家賃5ヶ月分では希望していた42万円には届きません。つまり、金額の交渉としては不成立です。

でも、ここで思い出してほしいんです。私の本当の目的は「実質1ヶ月で退去」という無茶な流れを止めて、時間を確保することでした。「住み続けていい」なら、その目的は達成どころかお釣りがきます。なので、私はそこで手打ちにしました。

ちなみに、相談料が無料の弁護士事務所だったうえに、交渉(金額の上積み)自体は成立しなかったため、弁護士費用はかかりませんでした。弁護士さんには申し訳ない結果でしたが……。

この体験から分かるのは、「退去してください」は、拒否すれば通らないことがあるということ。法律上、それだけ借主の立場は強いんです。


【本題】更新確認書の「新家賃でサインしてください」は2択じゃない

さて、ここからがこの記事の本題です。

そのまま住み続けることになった私のもとに、更新月の2ヶ月前、今度は更新確認書が届きました。内容はざっくりこんな感じです。

「更新にともない、家賃が上がります。内容を確認のうえ、サインと捺印をしてください」

これ、パッと読むと「新しい家賃で更新するか、更新せずに出ていくかの2択」に見えませんか?

私もそう感じました。あたかも選択肢が2つしかないような書き方なんです。

でも、念のため弁護士さんに確認したところ、返ってきた答えはこうでした。

  • 家賃の値上げは、あくまで大家さん側の「お願いベース
  • 新家賃でしか更新できない、なんてことはない
  • 今までの家賃のまま、住み続けることができる
  • 法律では、住んでいる人(借主)の権利のほうが強い

つまり、あの更新確認書が匂わせていた「2択」は錯覚で、実際には「今の家賃のまま住み続ける」という3つ目の選択肢が、ちゃんと法律で守られているんです。

これ、知らなかったら普通にサインしちゃいますよね。私も弁護士さんに聞いていなければ、「まあ更新ってそういうものか」と受け入れていたと思います。


家賃の値上げを拒否する、正しいやり方

「じゃあ、具体的にどう断ればいいの?」という話をします。私が弁護士さんに勧められた方法です。

ポイントはひとつだけ。証拠が残る形でやること。

具体的には、メール、もしくは届いた更新確認書そのものに、

「新家賃での更新は拒否します。今までの家賃で住み続けます」

という旨をハッキリ明記して返送します。そして、返送する前に必ずコピーを取っておくこと。メールならそのまま記録が残るのでベターです。

電話や口頭で伝えるのはおすすめしません。「言った・言わない」になったとき、何も証明できないからです。

【文例】
◯◯不動産 御中
◯◯号室の◯◯です。今回ご提示いただいた賃料改定(値上げ)については同意いたしかねます。
つきましては、従来の賃料にて契約を継続させていただきます。◯年◯月◯日 氏名

なお、値上げを拒否したからといって、即退去になることはありません。合意できない場合、大家さん側が値上げを実現するには調停や裁判という手続きが必要で、その間もあなたは「自分が相当だと思う額(=今までの家賃)」を払い続けていれば、家賃滞納にはなりません。

ただし、ひとつだけ知っておいてほしいことがあります。

万が一、調停や裁判で値上げが認められた場合は、それまでの差額に年1割の利息をつけて支払うことになります(借地借家法32条2項)。「拒否すれば永久に払わなくていい」というわけではないんですね。

とはいえ、大家さん側にとって調停・裁判は時間もお金もかかる手段。そこまで進むケースは決して多くありません。まずは落ち着いて、書面で意思表示をするところから始めれば大丈夫ですよ。


弁護士に頼むなら、知っておきたい3つのこと

私の体験から、弁護士さんに依頼する場合のリアルな注意点もシェアしておきます。

1. 頼むなら「最初の通知が来た段階」がベスト

これは弁護士さん本人に言われたことです。話がこじれてから入るより、最初から入ったほうが打てる手が多いそうです。

2. 弁護士を入れると、相手には嫌われる(笑)

弁護士さんが間に入ると、やり取りは内容証明郵便という形式になることが多いです。要するに「全部記録に残しますからね」という宣戦布告みたいなもので、相手側には確実に嫌がられます。ただ、こちらの本気度が伝わるので、舐められなくなる効果は絶大です。

3. 相手や物件によって、お金が「取れる場合」と「取れない場合」がある

立ち退き料は家賃をベースに計算されることが多いので、家賃が安い物件だと、まとまった額は取りにくいことがあります。私のケースがまさにそれでした。「弁護士に頼めば必ず大金が入る」わけではないので、そこは期待値の調整が必要です。

自治体の無料法律相談や、初回相談無料の事務所も多いので、「相談だけ」でもしてみる価値は十分ありますよ。私のように、相談無料+交渉不成立で費用ゼロ、なんてパターンもありますし(笑)。


まとめ:知識は「武器」にも「防具」にもなる

最後に、この記事で一番伝えたかったことです。

  • 大家さん都合の一方的な退去要求は、拒否できる
  • 家賃の値上げも、拒否して今までの家賃で住み続けられる
  • 退去日だけを安易に承諾すると、立ち退き料がもらえなくなる
  • 断るときは、証拠が残る形(書面・メール)で

私がこの結果を手にできたのは、特別な交渉力があったからではありません。「拒否できる」と知っていて、知っている人(弁護士)に早めに頼ったから。それだけです。

逆に言えば、知らないまま言われるがままにサインしていたら、払わなくていいお金を払い、もらえるはずのお金を逃していたはずです。

知識は、いざというときに自分を守る防具になり、交渉の場では武器になります。新生活を始めるみなさんには、ぜひこの記事の内容を頭の片隅に置いておいてほしいです。

そして最後にひとつだけ。

ここまでの話はすべて、私の契約が「普通借家契約」だったから成立した話です。賃貸の契約にはもうひとつ「定期借家契約」という種類があって、こちらだと話が大きく変わってきます。これから部屋を借りる人は、契約前に必ずどちらの契約か確認してください。

不安なことがあれば、ひとりで抱え込まず、自治体の無料法律相談などを活用してくださいね。


よくある質問(FAQ)

Q. 家賃の値上げ通知を無視したらどうなりますか?

A. 無視(放置)はおすすめしません。「拒否します。今までの家賃で住み続けます」という意思を、書面やメールなど証拠が残る形で伝えるのが正解です。そのうえで従来の家賃を払い続けていれば、滞納にはなりません。

Q. 更新確認書にサインしないと、退去させられますか?

A. いいえ。普通借家契約であれば、更新の手続きをしなくても「法定更新」といって、契約は法律上そのまま継続します。サインしない=即退去、にはなりません。

ただし法定更新になると、契約期間の定めがない契約に切り替わります。更新料や解約予告の扱いが変わることがあるので、気になる場合は契約書を確認するか、専門家に相談してみてくださいね。

Q. 退去要求を拒否したら、裁判になりませんか?

A. 可能性はゼロではありませんが、裁判になっても大家さん側に「正当事由」がなければ退去は認められません。むしろ裁判コストを嫌って、大家さん側が条件(立ち退き料など)を改善してくるケースも多いです。

Q. 弁護士費用はいくらくらいかかりますか?

A. 事務所や案件によりますが、相談だけなら無料の事務所も多いです。私の場合は、相談無料の事務所で、結果的に交渉が成立しなかったため費用はかかりませんでした。まずは自治体の無料法律相談で聞いてみるのが安心です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました